作品紹介
ユンカース・カム・ヒア 第1巻


<あらすじ>
僕の名前はユンカース。一見フツーのシュナウツアー犬だけど、実は人間の言葉がしゃべれちゃう!
でもそれは、僕と飼い主の瞳ちゃんとのヒミツ…のハズだったんだけどーー⁉︎
瞳ちゃんの友達で犬嫌いのみゆきちゃんが、僕のせいで交通事故にあっちゃった! 事故を起こした車はそのまま逃走。あとから自首してきた犯人は僕が目撃した犯人と別人だった‼︎
しゃべる犬ユンカースと飼い主の瞳ちゃん、そして順おじさんのおもしろコンビが真相究明に乗り出すハートウォーム・ストーリー。
<みどころ>
TM NETWORKの木根尚登さんの同名小説をコミック化した作品。木根さんの小説は1990年に発表し、1993年に角川文庫で文庫化され、さらに1995年には劇場アニメーションとして公開されました。当時から角川書店はメディアミックスを得意としていて、この劇場アニメーションの企画が上がった頃に、コミック化の話があり、デビューして短編を2作ほど描いただけの森永あいに大役がまわってきました。
いきなり長編60ページというページ数が与えられて、木根さんの原作をアレンジした1話目がスタート。その後はキャラクターの設定がどんどんオリジナルなギャグ路線に脱線していきましたが、そのコミカルさがウケて4冊のコミックスを出すほどの人気作品になりました。
森永さんは、『悪魔と踊れ』で人気だった鳥羽笙子先生の紹介でデビューしたので、そもそもその実力は折り紙付きだったとは言え、コメディセンスの良さと安定感のある画力、そして編集部の厳しめなオーダーに耐えられる体力がありました。私も当時は若かったので、ヒーヒーいいながら一緒に悩んだり苦しんだり、美味しいものを食べに行ったり…長い付き合いの始まりでした。
みどころにあげたのは、瞳ちゃんが拾ってきた仔猫が、ユンカースに意地悪をするという2話目。この仔猫にマヨという名前をつけるのですが、マヨは鳥羽さんが溺愛していた猫の名前からもらっています。のちには多頭飼いとなる猫好きの森永さんですが、当時はまだ猫を飼っていなくて、鳥羽さんちの猫を愛でていました。鳥羽さんちのマヨは野良ではなく、れっきとしたアメリカンショートヘアでしたが(笑)
その鳥羽さんも10年以上前にお亡くなりになっていて、今頃二人の愛猫たちとみんなで楽しく過ごしているんだろうと思われます。
byポリーナよしこ
