作品紹介
僕と彼女の××× 第3巻


<あらすじ>
或る日突然、地味な男と気の強い女が入れ替わったんだからさあ大変!? 森永あいの描く、新世紀型男女交換恋愛悲喜劇!!
あきらと菜々子がいれかわっったことが千本木にバレてしまった! しかし、千本木は知らぬ顔であっさり受け入れて、入れ替わったままの菜々子(中身あきら)にせまる。あきらは中身が分かった上でせまってくる千本木を拒否するが、ちょっとドキドキしたりもして自分がわからなくなる。そんな時、学園祭の演劇『ロミオとジュリエット』を千本木と菜々子(あきら)でやることになって…?
<みどころ>
千本木の人の悪さが出てくる第3巻。菜々子の中身があきらだとわかっても好きだという千本木。まあ、あきらという人格が好きだから、親友だったのだと思うけれど、究極の同性愛のカタチという気も…。
『ロミオとジュリエット』の上演中、自分の体に千本木が迫っているのに怒ったあきら(中身菜々子)が、千本木に嫌がらせしてるのを、あきらと付き合っている椎名に疑われて、思わず「千本木が気になる」と言ってしまう。中身の恋愛感情と外見の違いを頭にいれながら読み進めなければならないので、説明を書いていてもなんだかもう大混乱でよくわかんないことに…。しかし、この訳わからなさを破綻なく描ききって、笑いに変えているところが森永さんのすごさと思います。
この外見と中身のギャップというのは、森永さんの描く作品の根底にあるものなのでしょう。『山田太郎~』は外見は王子さまなのに中身は貧乏性だし、『あひるの王子さま』は、外見が超絶美少年になったのに中身はブサイクでジメジメした性格のままだし。『キララの星』では逆にイケメンなのにそのせいでひどい目にあっているのでひた隠しにしていたり。『極楽青春ホッケー部』でも、寝てる時のハナは最強だったり、なにかに取り憑かれて別人格になるとかもネタとしてよく使われています。
外見で判断されがちな世の中、中身にギャップがあった方が断然おもしろいって思っていたのには違いないです。
みどころにあげたのは、あきらが嫌がらせで千本木にせまっているのを漫研がいわゆる「やおい本」にしたというシーン。森永さんはそういうオタク心を自分はいまいち持っていないとは言ってましたが、まわりにはじゅうぶんすぎるほど「その心」を持ったひとたちがたくさんいたので、理解していたというか、漫画家としてうらやましく思っていた感じでした。それがないから自分の作品には色気がないと(笑)
ポリーナよしこ
